個別指導と塾選びの話|水戸市周辺の中学生・小学生向けブログ → 投稿投稿一覧はこちら
Last Updated on 2026年1月11日 by 塾個別
水戸の夜空に星が綺麗に見える季節になりました。 この時期、塾には多くのご相談が寄せられます。中でも多いのが、「まずは苦手な数学だけを1教科、個別指導でお願いしたい。それで他の教科にも良い影響が出れば……」というお話です。
親御さんのお気持ちは痛いほど分かります。まずはスモールステップで、というお考えでしょう。しかし、長年この水戸で多くのお子さんを見てきた経験からすると、この「1教科受講」には、実は見落としがちな大きな落とし穴があるように感じてなりません。
エビデンス1:学習の「転移」には、圧倒的な基礎体力が必要
教育心理学の世界には「学習の転移」という言葉があります。一つの教科で学んだ論理的思考が、他の教科にも波及するという現象です。 「数学ができるようになれば、理科も伸びるはず」 確かにその可能性はあります。しかし、これには条件があります。それは、「自習する習慣」がすでに身についていることです。
週に1〜2回、塾で1教科だけを学んでも、それはあくまで「点」の学習です。家でスマホを手に取る時間が、塾で勉強する時間の数倍ある状態では、その「点」が他の教科へ波及するほどのエネルギーを持つことは、物理的に難しいのではないでしょうか。
エビデンス2:茨城県立入試は「5教科の総力戦」である
水戸一高や二高をはじめとする公立入試の配点を見れば一目瞭然です。 各教科100点、合計500点。 1教科だけを突出させて80点、90点を取ったとしても、残りの教科が平均点以下であれば、合格ラインには届きません。
最近の茨城県の実力テストの傾向を見ても、思考力を問う問題が増え、教科間の壁が低くなっています。例えば英語の長文読解に社会的な知識が必要だったり、理科の計算に数学の素養が必須だったりします。 「1教科を深掘りする」ことと「5教科で戦う力をつける」ことの間には、大きな溝があるのです。
最後に、少しだけ「耳の痛い」お話
成績を上げている生徒たちの共通点を一つ挙げるとすれば、彼らは「塾で何を習うか」ではなく、「塾に来ることで、5教科全体の学習リズムを作っている」という点です。
3教科、5教科と受講している生徒は、必然的に塾にいる時間が長くなります。その場所自体が「勉強する空間」となり、周りの仲間が必死に問題を解く姿を横目に見る。その空気感こそが、家で一人「1教科だけ」を頑張ろうとする子との、目に見えない、しかし決定的な差になっている気がしてなりません。
「1教科だけで、魔法のように全体が上がる」 そんな虫の良い話がもしあったなら、私は真っ先に生徒たちに教えてあげたい。 けれど、今日もうちの自習室で3教科、4教科のテキストを並べて奮闘している生徒の背中を見ていると、やはり「相応の覚悟と時間」こそが、唯一の近道なのだと再確認させられるのです。
今夜も、水戸の街は静かに更けていきます。 さて、明日の授業の準備に取り掛かるとしましょう。
